2025/02/27
【管理栄養士必見】栄養指導で大事になる食事以外の情報収集のポイント
栄養指導では、食事内容だけでなく、食事以外の情報も重要な役割を果たします。
これらの情報をしっかりと収集し、効果的に活用することが、より良い指導につながります。
今回は、栄養指導の際に確認しておきたい患者情報のポイント(食事以外)について解説します。
①職業・年齢
②病名・既往歴
⑤薬物の種類と量
患者からの情報
①医師から言われたこと
②体重の変動
③症状・訴え
④飲食時間
⑤通勤時間
⑥運動
⑦食事(外食と飲酒)
⑧家族構成
カルテからの情報
カルテからどの情報を拾うかは大事です。
以下のポイントを押さえておきましょう。
①職業・年齢
職業からは運動量を推測することができます。運動量によって必要な栄養価が変わってくるので必ず見ておきましょう。
年齢は、その年齢によって、食生活の特徴が予測できます。
例えば20代の独身であれば、食品数が少ない可能性が高く、とくに独身男性では外食が多く野菜が不足し、肉料理が多いことも推測できます。
30~40代の家族持ちであれば、育ち盛りの子供を抱えており子供中心のメニューになっている可能性があります。
②病名・既往歴
栄養指導の依頼伝票に記載されている病名は、すべての疾患が記載されているわけではありません。
例えば糖尿病の指導依頼を受けたとしても、脂質異常症と腎臓病などが重なっていれば食事療法は全く違ってきます。
そのため、既往歴もしっかり確認しておきましょう。
③血圧
どんな場合でも血圧は必ず確認しましょう。
血圧が高いと、運動時の注意や食事療法も変わってきます。
④患者の訴え
医師に訴えている内容には、その訴えから推測されるヒントがある場合があるので確認しておきましょう。
例えば、ダイエットをしている人が「とても疲れる」「元気が出ない」という訴えがある場合、間違ったダイエットによる食事内容になっている可能性もあります。
訴えは軽視せずに食生活を推測できるヒントとして確認しておきましょう。
⑤薬物の種類と量
薬物の種類によっては食事で気を付けなければいけない物があります。
また、栄養指導を受け、検査値がよくなったとしても、薬物の効果であって食事療法だけの効果とは限らないため、合わせて確認しておく必要があります。
⑥看護師・医師の教育内容
患者の栄養指導に関して、他の職種がどのように説明しているかを確認しておく必要があります。
特に看護師は患者から食事のことをよく聞かれて答えている場合があります。その答えと管理栄養士の指導が食い違っていれば患者は混乱するので注意が必要です。
患者からの情報
患者から得られる情報は多岐にわたります。
正確な提案を行うためには、できるだけ多くの情報をしっかりと聞き取ることが重要です。
①医師から言われたこと
患者が医師からどのような指示を受けたかを確認することは重要です。カルテから医師の方針をある程度把握できますが、カルテに記載されていない情報も存在するかもしれません。
また、患者の理解度を把握するためにも、直接確認しておくことが大切です。
②体重の変動
体重については、以下の項目を確認することをおすすめします。
⑴ 18歳時の体重
⑵ 最も太っていた時の体重・年齢
⑶ 減量経験
⑷ 体脂肪率
⑸ 腹囲
20歳を過ぎてからの体重増加は、ほとんどが脂肪によるものと考えられます。
減量経験が豊富な人では、だんだんと体重が減りにくくなることがあります。
また、やせている場合でも体脂肪率が高い場合は、運動不足が影響している可能性が高いです。
③症状・訴え
症状や訴えの中には、栄養状態を反映した重要な情報が含まれていることが多いため、聞き逃さないようにしましょう。
特に、以下の症状は食事と密接に関連しており、注意が必要です。
⑴ 疲労感
⑵ 便秘
⑶ 下痢
疲労感を感じている場合、減量が急激すぎる可能性や、栄養バランスが偏りビタミンB1が不足していることが考えられます。さらに、薬物の影響も無視できません。
便秘の症状がある場合、食物繊維や水分、油脂の不足が原因として考えられます。
下痢が続く場合は、食物繊維が過剰であることや、下剤の使用、胃腸が弱いタイプの問題も確認しておくことが重要です。
④飲食時間
食事のタイミングから得られる情報も非常に重要です。同じ量を食べても、食事をする時間帯によって栄養状態には大きな違いが生じます。
例えば、糖尿病の方の場合、食事と食事の間隔は3時間以上空けることが推奨されます。これは、血糖値が上がりきる前に次の食事で再び血糖値が上昇するのを防ぐためです。
⑤通勤時間
通勤時間帯も食事に大きな影響を与えることが多いため、確認しておくことが重要です。
例えば、残業が多い方では夕食が23時頃になることも少なくありません。
このような場合、昼食と夕食の間が10時間以上空くことになり、血糖値に影響を及ぼす可能性が高くなります。
⑥運動
運動量だけでなく、運動する時間帯にも注意を払うことが大切です。
例えば、糖尿病の患者においては、食後の血糖値が高い状態で運動をすると、血糖値がさらに上昇してしまうことがあります。
そのため、運動量とともに、運動のタイミングもしっかりと確認しておきましょう。
⑦食事(外食と飲酒)
外食や飲酒の内容にも十分に注意を払うことが必要です。
飲食店での飲酒頻度が高い人は、どうしてもエネルギー摂取が多くなり、控えめにすることが難しいことがあります。
そのため、できるだけ外食の頻度を減らすことが、現実的な解決策となることが多いです。
⑧家族構成
単身者の場合はむずかしい食事指導をしても実行不可能であることが多いです。
できないことを指導するのではなく、ごく簡単なことから始めることが大事です。そのため、家族構成を確認しておくことも重要になります。
***
以上が、栄養指導の際に把握しておきたい食事以外の情報です。
疾患や患者の状況によって把握するべき内容は異なりますが、今回紹介したポイントにも十分に注意し、個々の患者に合った栄養指導に活かしていってください。
【参考文献】
- 足立香代子(2012年)『検査値に基づいた栄養指導』第2版第3刷、株式会社チーム医療
株式会社メディカルフロンティア 専属ライター(管理栄養士)
▼管理栄養士の現場経験11年
▼栄養指導3年、調理現場3年、献立作成5年、管理職6年
これまで病院に所属し、主に栄養管理や献立管理を担当してきました。
栄養士コラムは自身の経験も踏まえ、その他、転職や業界情報などみなさんの役に立つ情報発信を行っていきます。
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