2025/12/16
チーム医療を強くする!多職種連携をうまく進めるためのポイント
医療・福祉の現場では、多職種が連携して一人ひとりの利用者・患者を支えることが欠かせません。
しかし、実際には「意見がかみ合わない」「情報共有がスムーズにいかない」など、連携に難しさを感じる場面も少なくありません。
では、チームとしてより良いケアを実現するために、私たちは何を意識すればよいのでしょうか。
本コラムでは、多職種連携が難しくなる背景と、連携を円滑に進めるために日々心がけたいポイントを分かりやすく解説します。
・多職種連携はなぜ難しいのか?その背景と課題
・多職種連携を円滑に進めるための心がけと実践ポイント
・まとめ:連携力を高めれば、より良いケアが実現できる
多職種連携はなぜ難しいのか?その背景と課題
多職種連携とは、医師・看護師・介護職・リハビリ職・管理栄養士・ソーシャルワーカーなど、異なる専門職が互いの知識と役割を持ち寄り、利用者・患者に最適な支援を行うための協力体制のことを指します。
一人の利用者に対して、多面的にアプローチできるのが大きなメリットですが、その分「難しい」と感じる場面が出てくるのも事実です。
多職種連携が難しいのは、主に以下の理由からです。
関わる職種の多さ
医療・福祉の現場では、担当者が多ければ多いほど、情報量も意見も増えます。
誰がどこまで関わるのか、どのタイミングで情報を共有すべきかが曖昧になると、連携ミスや認識のズレが生じやすくなります。
職種ごとの専門性の違い
職種によって重視する視点や優先順位、判断基準は大きく異なります。
たとえば、医師は医学的リスクを中心に考え、介護職は生活全体の視点からケアを捉え、リハビリ職は機能改善や日常動作の向上に重点を置くなど視点や判断基準が異なります。
この価値観の違いが、意見のすれ違いや誤解につながることがあります。
多職種連携を円滑に進めるための心がけと実践ポイント
多職種連携をうまく進めるためには、特別なスキルよりも “日々の関わり方” が大きな鍵になります。
ここでは、現場で意識したい実践ポイントを紹介します。
専門性を尊重し、互いを理解する姿勢を持つ
多職種連携の基本は、相手の専門性を尊重することです。
同じ職場で同じ志をもって働いていても、職種ごとに専門領域や重視するポイントは異なります。そのため、考え方や着目する部分に違いが生まれるのは自然なことです。
大切なのは、自分の意見を一方的に押し付けるのではなく、
「自分とは違う専門的な視点がある」という事実を受け入れ、理解しようとする姿勢を持つこと。
その意識があるだけで、意見のすれ違いは“衝突”ではなく“学び”に変わります。
すべての職種が互いを尊重し合うことが、よりよいチームづくりの土台となります。
普段からのコミュニケーションを大切にする
良い連携は、日々の何気ないコミュニケーションから育まれます。
たとえば、相手を呼ぶときに職種名ではなく、名前で呼ぶだけでも距離が縮まり、話しやすい関係づくりにつながります。
私自身、管理栄養士として働いていた際、「栄養士さん」と呼ばれることもあれば、「(苗字)さん」と名前で呼ばれることもありました。
後者のほうが、自分をひとりの専門職として尊重されているように感じ、自然と話しやすい雰囲気が生まれたのを覚えています。
このような小さな心がけが、チーム全体のコミュニケーションを円滑にし、多職種連携をよりスムーズにしてくれます。
ただし、多職種のメンバーに声をかける際は、相手が忙しいタイミングを避け、状況に配慮することも忘れないようにしましょう。
専門用語や略語を必要以上に使わず、わかりやすい言葉で伝える
同じ医療職であっても、職種が違えば使う専門用語も異なります。
略語や専門用語をそのまま伝えると、相手が理解しにくいだけでなく、誤解を招くこともあります。
特にカンファレンスなど日常の情報共有では、“相手にも伝わる言葉で話す” ことを意識しましょう。
わかりやすい言葉で話すことは、相手への敬意の表れでもあります。
できること・できないことを互いに尊重する
「やってあげたい」「協力したい」という気持ちはとても大切ですが、職種によってはどうしてもできないこともあります。
たとえば、食事のことで例をあげると、栄養士に対して「この利用者は魚が嫌いだから一切出さないでほしい」などと言われることもあります。
しかし、献立全体のバランスや施設の基準上、対応できないケースもあります。
無理な依頼を避け、お互いの権限や専門範囲を理解したうえで相談する姿勢が、無用なトラブルを防ぎ、連携をスムーズにします。
まとめ:連携力を高めれば、より良いケアが実現できる
医療・福祉の現場での多職種連携は、決して簡単ではありません。職種ごとの専門性や視点の違い、情報量の多さが、連携を難しく感じさせる要因です。
しかし、互いの専門性を尊重し、日々のコミュニケーションを大切にする、わかりやすい言葉で伝える、そしてできること・できないことを理解し合うことを意識すれば、チームの連携はスムーズになります。
小さな配慮の積み重ねが、利用者・患者にとってより良いケアにつながります。
今日からできることを意識し、チームで支え合う現場をつくっていきましょう。
株式会社メディカルフロンティア 専属ライター(管理栄養士)
▼管理栄養士の現場経験11年
▼栄養指導3年、調理現場3年、献立作成5年
これまで病院に所属し、主に栄養管理や献立管理を担当してきました。
栄養士コラムは自身の経験も踏まえ、その他、転職や業界情報などみなさんの役に立つ情報発信を行っていきます。
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