2025/11/06投稿者:スタッフ

社会保険の基本と安心のしくみ!転職・就職前に知っておこう

社会保険について、きちんと理解していますか?

 

転職活動をしていると、求人票に「社会保険完備」と書かれているのをよく目にしますよね。

 

とはいえ、「実際どんな制度なのかよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。

 

社会保険は、安心して働き続けるために欠かせない大切な仕組みです。

 

また、給料から天引きされるものでもあるため、「何のために」「どのくらい引かれているのか」を知っておくことはとても大切です。

 

この記事では、社会保険の基本的な仕組みや目的についてわかりやすく解説します。

「実はよく知らないかも」という方も、ぜひ最後まで読んでみてください。

 

 

 

目次
社会保険の基本構造
加入するタイミングと条件
保険料はどうやって決まる?
社会保険のメリット
まとめ

 

社会保険の基本構造

社会保険とは、病気・けが・失業・老後など、働く中で起こり得るもしもに備えるための公的な保険制度です。

 

働く人が安心して生活できるよう、国が中心となって運営しています。

 

社会保険には、主に次の 5つの制度 があります。

 

健康保険

病気やけがをしたとき、医療費の自己負担が3割になるなど、治療費の負担を軽くしてくれる制度です。

 

出産や病気で仕事を休んだときの「出産手当金」「傷病手当金」なども支給されます。

 

 

厚生年金保険

将来の老後資金となる年金を支える制度です。加入期間に応じて、将来受け取れる年金額が増えていきます。

 

また、万が一のときには「障害年金」や「遺族年金」として支給されることもあります。

 

 

雇用保険

失業したときに一定期間、生活を支えるための給付(失業手当など)が受けられる制度です。

 

再就職を支援するための講習や給付制度も整っています。

 

 

労災保険

仕事中や通勤途中に起きたけが・病気・死亡に対して、治療費や休業補償などを受けられる制度です。

 

保険料は全額、事業主(会社)が負担します。

 

 

介護保険

40歳以上の人が対象で、介護が必要になったときに費用の一部を負担してもらえる制度です。介護サービスの利用や在宅支援などに活用されます。

 

 

これら5つの制度をまとめて「社会保険」と呼び、会社員や公務員などは原則として加入します。

 

自営業者やフリーランスの場合は、「国民健康保険」「国民年金」に加入することになります。

 

 

加入するタイミングと条件

社会保険は、就職したタイミングで自動的に加入するのが基本です。

 

多くの企業では、入社日から または 入社した月の初日から 社会保険の加入手続きを行います。

 

ただし、雇用形態や勤務時間によって、加入できるかどうかの条件が異なります

 

正社員の場合

原則として、入社した時点で社会保険の対象となります。

 

会社が健康保険・厚生年金保険・雇用保険などの加入手続きを行い、保険料は給与から天引きされます。

 

契約社員・パート・アルバイトの場合

一定の条件を満たせば、正社員と同じように社会保険に加入できます。

 

主な目安は次のとおりです(一般的な基準の場合)。

  • 週の所定労働時間が 20時間以上
  • 月額賃金が 88,000円以上(おおむね年収106万円以上)
  • 勤務期間が 2ヶ月を超えて働く予定がある
  • 学生ではないこと
  • 勤務先の従業員数が 常時51人以上

※上記の条件は企業規模や勤務形態によって異なる場合があります。

 

フリーランス・自営業の場合

会社員のように「社会保険」には加入できませんが、代わりに

  • 国民健康保険
  • 国民年金

に自分で加入する必要があります。

これも公的な保険制度であり、医療費の補助や将来の年金受給につながります。

 

退職や転職のときは要注意

退職すると、その日で社会保険の資格を失います

 

転職先での加入までに期間が空く場合は、任意継続 や 国民健康保険への切り替え が必要です。

 

手続きを忘れると、医療費を全額自己負担することになるので注意しましょう。



保険料はどうやって決まる?

社会保険に加入すると、毎月の給料から「社会保険料」が天引きされます。

 

これは、健康保険や厚生年金、雇用保険などを運営するための掛け金のようなものです。

 

では、この保険料はどのように決まるのでしょうか?

 

給料の金額によって決まる

社会保険料は、「標準報酬月額」という基準をもとに計算されます。

 

これは、毎月の給与(基本給+手当など)を一定の幅で区分した金額のこと。

給与が高いほど標準報酬月額も上がり、それに応じて保険料も高くなります。

 

会社と本人が折半で負担

社会保険料は、会社と従業員が半分ずつ負担します。

 

そのため、実際に自分の給与から引かれているのは保険料の「半分」だけです。

もう半分は会社が代わりに納めてくれています。

 

たとえば、月の社会保険料が6万円なら、

従業員が3万円、会社が3万円をそれぞれ負担しているイメージです。

 

手取り額に影響する

社会保険料は毎月の給与から天引きされるため、手取り額(実際に受け取る金額)に直接関係します。

 

「額面の給料」と「手取りの給料」に差があるのは、この社会保険料や所得税などが差し引かれているためです。

 

保険料率は地域や制度によって違う

健康保険料率は加入する保険組合や都道府県ごとに少しずつ異なります。

 

また、介護保険料は40歳を超えると加算されるなど、年齢や状況によっても変化します。

 

社会保険のメリット

社会保険というと、「給料から引かれてしまうお金」というイメージを持つ人も多いかもしれません。

 

しかし実は、社会保険は働く人を守るための安心の仕組みです。

 

万が一のときや将来に備えて、さまざまな場面であなたを支えてくれます。

 

病気やけがのときに医療費の負担が軽くなる

社会保険に含まれる「健康保険」によって、医療費の自己負担は原則3割で済みます。

 

また、入院や長期の療養で仕事を休むことになっても、「傷病手当金」が支給され、生活を支えることができます。

 

出産や育児のときに支援が受けられる

出産時には「出産手当金」や「出産育児一時金」などの制度があり、安心して出産・育児に専念できます。

 

育児休業中には「育児休業給付金」も受け取れるため、ライフイベントの大きな支えになります。

 

失業したときにも生活をサポート

「雇用保険」に加入していれば、失業した際に「失業手当(基本手当)」を受け取ることができます。

 

再就職活動を支援する制度や職業訓練の給付などもあり、次のステップに進むための力になります。

 

老後やもしものときの備えになる

「厚生年金保険」は、将来の老後生活を支える大切な年金制度です。

 

また、障害を負ったときや、家族を残して亡くなったときにも「障害年金」や「遺族年金」として給付を受けられます。

 

会社が保険料を半分負担してくれる

社会保険料は、従業員と会社が折半して負担しています。

 

自分が支払っている金額と同じ分を会社も負担してくれているため、実質的に半額の負担で大きな保障を得ていることになります。

 

転職・就職活動で気を付けたいポイント

転職や就職活動の際、「社会保険完備」と書かれた求人票をよく見かけます。

 

ここでは、求人を見るときや入社前後に気をつけたいポイントを紹介します。

 

「社会保険完備」とは何が含まれるのかを確認しよう

求人票に「社会保険完備」と記載がある場合、

一般的には 健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険 の4つに加入できることを意味します。

40歳以上の方は、介護保険も加わります。)

 

ただし、まれに「雇用保険と労災保険だけ」など、限定的に加入している企業もあるため、どの保険に加入できるのかを具体的に確認しておくと安心です。

 

入社日から保険に入れるかチェック

社会保険は、原則として入社日(または入社した月の初日)から加入できます。

 

ただし、企業によっては「試用期間終了後に加入」というルールを設けている場合も。

その場合、万が一病気やけがをしたときに保険が使えない期間が生じることもあるため、

加入時期をしっかり確認しておきましょう。

 

退職から転職までの「空白期間」に注意

前職を退職した時点で、その会社の社会保険資格は失効します。

 

転職先での加入までに期間が空く場合は、

  • 健康保険の任意継続
  • 国民健康保険への切り替え
  • 国民年金への加入手続き

を自分で行う必要があります。

 

無保険のままにしておくと、医療費が全額自己負担になるおそれがあるため注意しましょう。

 

フリーランスや業務委託で働く場合も要チェック

フリーランスや個人事業主として働く場合は、会社員のように「社会保険」には加入できません。

 

その代わりに、国民健康保険 と 国民年金 に自分で加入する必要があります。

 

収入によって保険料が変わるため、独立を検討している人は事前に把握しておくと安心です。

 

まとめ:社会保険は安心して働くために知っておこう

社会保険は、病気やけが、失業、出産、老後など、働く中で起こり得るもしもに備える公的な制度です。

 

給与から天引きされる一部のお金ですが、その分、私たちの生活や将来を守る大きな保障が用意されています。

 

転職の際は、求人票に記載された社会保険の内容も忘れずに確認しましょう。

 

社会保険の仕組みを正しく理解することで、安心して働きながら、医療費や生活上のリスクに備えることができます。




参考文献

 

 

 

**筆者プロフィール**

株式会社メディカルフロンティア 専属ライター(管理栄養士)
▼管理栄養士の現場経験11年
▼栄養指導3年、調理現場3年、献立作成5年
これまで病院に所属し、主に栄養管理や献立管理を担当してきました。
栄養士コラムは自身の経験も踏まえ、その他、転職や業界情報などみなさんの役に立つ情報発信を行っていきます。