2025/10/16
日本の食品ロスの実態と管理栄養士にできること
食品ロスの実態は?
皆さんは、日本で年間どれほどの食品ロスが発生しているかご存知でしょうか?
農林水産省が公表した2023年度の推計によると、国内の食品ロス量は約464万トンにのぼります。
その内訳は、事業系食品ロスが231万トン、家庭からの食品ロスが233万トンと、ほぼ半々です。
この数字は非常に大きなものですが、実は過去と比べると大きく減少しています。
たとえば2000年度の食品ロス量は約980万トンに達しており、そこから見ると半分以上の削減が実現できたことになります。
しかし、減少傾向にあるとはいえ、現状に満足してよいとは言えません。
なぜなら、日本の食料自給率はカロリーベースでわずか38%と低く、多くの食料を海外からの輸入に依存している状況だからです。
貴重な食べ物を無駄にせず、大切に活用していくことは、私たち一人ひとり、そして栄養の専門職である管理栄養士にとって非常に重要な課題です。
食品ロスを減らすために管理栄養士にできること
管理栄養士は、事業系・家庭系の両方の食品ロス削減に関わることができる、数少ない専門職です。
たとえば、給食施設や福祉・医療現場などでは、献立の工夫や調理工程の見直しを通じて、事業系の食品ロスを直接減らすことが可能です。
一方で、地域住民や利用者、保護者などに対する食育や情報提供を通じて、家庭での食品ロス削減にも貢献できます。
管理栄養士として取り組める具体的なアクションには、以下のようなものがあります。
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◆献立作成の工夫
→食材の使いまわし、旬の食材の活用、適正な食事量の設計などを通じて、廃棄の出にくいメニューを考案。
◆食育や啓発活動
→「もったいない」の意識を育てる授業や講話、家庭へのリーフレット配布など、日常に取り入れやすい行動変容を促す工夫。
◆現場でのチーム連携
→調理スタッフ、看護師、保育士、介護職などと連携し、盛付量や食べ残しの傾向を共有しながら改善を図る。
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ほんの小さな取り組みでも、積み重ねることで大きな成果につながります。
私たち管理栄養士は、食のプロフェッショナルとして、日々の業務の中で「食べ物を無駄にしない仕組みづくり」に関われる存在です。
一人ひとりができることを考え、チームで、そして地域全体で、食品ロスの削減に取り組んでいきましょう。
参考文献:2023(令和5)年度食品ロス量推計値の公表について
株式会社メディカルフロンティア 専属ライター(管理栄養士)
▼管理栄養士の現場経験11年
▼栄養指導3年、調理現場3年、献立作成5年
これまで病院に所属し、主に栄養管理や献立管理を担当してきました。
栄養士コラムは自身の経験も踏まえ、その他、転職や業界情報などみなさんの役に立つ情報発信を行っていきます。
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