2024/12/20投稿者:スタッフ

クックチル・ニュークックチルとは?導入する際の選び方を解説

近年、クックチルやニュークックチルを導入する病院や施設も増えてきました。

 

そこでこの記事では、クックチル・ニュークックチルの特徴を解説します。

 

自社施設にクックチルもしくはニュークックチルの導入検討をしている方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

目次
  • クックチルとは?
  • ニュークックチルとは?
  • 導入を検討するときの選び方
  • まとめ

 

クックチルとは?

 

クックチルとは、食材を加熱調理後90分以内中心温度3℃以下まで急速冷却し、0~3℃で保存、食事の時間に合わせて再加熱し、盛付・配膳し提供する調理方法です。

 

加熱から食事提供までの期間は、調理した日を含めて最大5日間となります。(参照:医療・福祉施設へ食事配送するセントラルキッチンを対象とする「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の手引書

 

具体的な流れは次の通りです。

調理 → 冷却 → 冷蔵保存 → 再加熱 盛付 → 配膳 → 提供

 

ニュークックチルとは?

ニュークックチルは、従来のクックチルシステムを改良した新しい方法です。加熱調理後0〜3℃で保存するところまではクックチルと同じです。

 

ニュークックチルではその後、冷蔵保存した料理を冷蔵状態のまま食器に盛り付け食器ごと再加熱を行います。

 

このため、再加熱後は温かい食事を迅速に提供することができます。

 

具体的な流れは次の通りです。 

調理 → 冷却 → 冷蔵保存 →  盛付 → 配膳 → 再加熱 → 提供

 

導入を検討するときの選び方

クックチル・ニュークックチルを検討する際に、どちらを検討するべきか悩むことも多いと思います。

 

それぞれに向いている施設の特徴をご紹介します。

 

クックチルに向いている施設

クックチルに向いている施設は以下の考えをお持ちの場合です。

・盛り付けは自分たちで行いたい
・食器にこだわりがある
・必要に応じて味付け調整したい
・たまに院内調理したい

 

①盛付は自分たちで行いたい

盛り付けを自分たちで行いたい場合は、クックチルをおすすめします。

 

クックチルとニュークックチルの大きな違いの1つは、盛り付けのタイミングです。

クックチルでは、再加熱後に盛り付けを行うため、院内で盛り付け作業を行うことになります。

 

盛り付けは食事の見た目に大きな影響を与えるため、盛り付けを自分たちで行いたいという場合には、クックチルが向いています。

 

 

②食器にこだわりがある

食器にこだわりをお持ちの場合は、クックチルをおすすめします。

 

ニュークックチルでは、再加熱を食器ごと行うため、耐熱機能を備えた専用の食器を使用する必要があります。そのため、使用できる食器の種類が限られてしまい、行事食など特別感を出したい場合でも、通常の食器を使わざるを得ません。

 

一方、クックチルでは再加熱後に盛り付けを行うため、食器に制限はなく、自由に選べます。したがって、食器にこだわりを持っている場合は、クックチルがより適しています。

 

 

③必要に応じて味付け調整をしたい

必要に応じて院内で味付けの調整を行いたい場合は、クックチルをおすすめします。

 

クックチルとニュークックチルはどちらも加熱調理後から食事提供までに時間が経過するため、その間に離水などの影響で味が薄くなる場合があります。

 

そのため、施設によっては盛付前に味を調整しているところもあります。このような調整を行いたい場合には、院内で盛り付けができるクックチルが適しています。



④たまに院内調理をしたい

すべての食事をクックチルで提供するのではなく、人数が多い時や行事食など、たまに院内で調理した食事を提供したいとお考えの場合は、クックチルがおすすめです。

 

ニュークックチルでは、厨房のスタッフがほぼいなくなるため、院内調理を行いたいときに必要な人数を確保するのが難しくなります。

 

これに対して、クックチルでは、日常の盛り付けや配膳のスタッフは確保されているため、院内調理を行う際に必要な人数を確保しやすくなります

 

 

 

ニュークックチルに向いている施設

ニュークックチルに向いている施設は以下の考えをお持ちの場合です。

・人件費をできるだけ削減したい
・院内作業をできるだけ減らしたい
・完全委託にしたい

 

①人件費をできるだけ削減したい

厨房の人件費をできるだけ削減したい場合は、ニュークックチルがおすすめです。

 

ニュークックチルでは、再加熱後にそのまま食事を提供できるため、盛り付けやトレイメイクを必要としません

 

これにより、スタッフの手配や人件費を抑えることができるため、人件費削減を目指す場合にはニュークックチルが適しています。

 

 

②院内作業をできるだけ減らしたい

院内作業をできるだけ減らしたいとお考えの場合は、ニュークックチルがおすすめです。

 

ニュークックチルでは、調理作業がほとんどなくなるため、院内で行う作業を最小限に抑えることができます。

 

これにより、院内作業の削減だけでなく、人件費に加えて、水道光熱費などの経費も削減することが可能です。

 

 

③完全委託にしたい

給食業務を完全に委託したいとお考えの場合、ニュークックチルがおすすめです。

 

クックチルでは、再加熱後の盛り付けを院内で行うため、万が一問題が発生した際、その発生源を特定するのが難しくなることがあります。

 

一方、ニュークックチルでは、委託側と受託側の作業が明確に分かれており、問題が発生した場合の原因が複雑化しにくいです。

 

 

まとめ

この記事では、クックチルとニュークックチルの特徴について解説しました。

 

どちらも、労働力不足が深刻化している給食業界において、解決の手段となる調理システムです。

 

それぞれのメリットとデメリットをしっかりと理解し、より効果的な給食管理につなげていただければと思います。

 

 

**筆者プロフィール**

株式会社メディカルフロンティア 専属ライター(管理栄養士)
▼管理栄養士の現場経験11年
▼栄養指導3年、調理現場3年、献立作成5年、管理職6年
これまで病院に所属し、主に栄養管理や献立管理を担当してきました。
栄養士コラムは自身の経験も踏まえ、その他、転職や業界情報などみなさんの役に立つ情報発信を行っていきます。