2025/02/18投稿者:スタッフ

セミナーレポート「食事摂取基準と冷凍食品活用セミナー」

セミナーの概要

令和7年2月15日(土)「食事摂取基準と冷凍食品活用セミナー」にオンラインで参加しました。

 

本セミナーは、公益社団法人日本冷凍食品協会と女子栄養大学出版部が共催するもので、食に関する最新情報を学びながら、冷凍食品を職場で効果的に活用するための具体的な提案を受けることを目的としています。



▼以下のプログラムが行われました。

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1.知ろう、活かそう、冷凍食品

講師:三浦佳子氏(日本冷凍食品協会)

 

2.日本人の食事摂取基準2025版、指導!実践ポイントと冷凍食品の活用法

講師:上西一弘氏(女子栄養大学教授)

 

3.冷凍食品だから、組み合わせも簡単!栄養しっかりプレートメニュー

講師:渥美まゆ美氏(管理栄養士・フードコーディネーター・料理家・フードプロデューサー)

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1.知ろう、活かそう、冷凍食品

・冷凍食品の消費量:2023年一人当たり23.2kg/年(魚の22.0kgより多い)

・冷凍食品の種類:冷凍野菜・水産冷凍食品・冷凍果実・調理冷凍食品

・冷凍食品とは、とれたて・作りたての品質のまま、長期間保存するために凍結保存した食品のこと。

<冷凍食品の4つの条件>

①前処理している

  食中毒菌が入り込むリスクが減る、生ごみが減る

②急速凍結している

  最大氷結晶生成温度帯を短時間で通過(細胞・組織の破壊が少ない)

③適切に包装している

  調理方法・栄養価など記載、食中毒菌が入り込むリスクが減る

④品温を-18℃以下で管理している

  -12℃以下は細菌が増殖しない栄養価が維持できる

 

⇒この4つのため、保存料いらずで栄養&おいしさキープ

 

冷凍食品の安全性

 →冷凍食品認定制度がある

 →HACCPに沿った衛生管理の制度化している

 ※冷凍食品とそうざい半製品は異なるので注意

冷凍食品のメリット

 ★とれたて、作りたての風味や栄養がそのまま

 ★凍結したまま使うので衛生的

 ★長期保存が可能(家庭用冷蔵庫では2~3ヵ月程度で)

 ★生ごみが出ない

 ★調理時間の短縮

 ★必要な時に必要な量だけ使える

 ★省力化による人手不足の解消&コスト管理

 

2.日本人の食事摂取基準2025版、指導!実践ポイントと冷凍食品の活用法

食事摂取基準とは

・何をどれだけ食べればよいかを示したガイドライン。

・健康で長生きするために(健康寿命の延伸)

食事摂取基準の改定の趣旨

・生活習慣病の改善、主要な生活習慣病の発症予防・重症化予防の徹底を図るとともに、社会生活を営むために必要な機能の維持・向上などの観点も踏まえた取り組みを推進。

・生活機能の維持・向上の観点から、生活習慣病に加えて、新たに骨粗鬆症とエネルギー・栄養素との関連も整理した。

令和5年国民健康・栄養調査結果より

①食塩摂取量の状況:平均値9.8g/日。増減なし

食塩の目標量、成人男性7.5g未満、成人女性6.5g未満をかなりオーバーしている

 

②野菜摂取量の状況:平均値256g/日。男女ともに減少傾向

野菜摂取目標量の350g/日以上をかなり下回っている

 

③栄養バランスのとれた食事に関する状況

主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を毎日1日2回以上摂っている:男性45.7%、女性47.1%

魚の摂取量が全世代で減少している

→牛乳・チーズの摂取量が主要国と比べて日本は低い

 

食事摂取基準食事摂取基準と令和5年国民健康・栄養調査結果の比較

 

 

男性

女性

食事摂取基準

国調

食事摂取基準

国調

食物繊維

20~22g以上

19.2g

18g以上

17.3g

ビタミンD

9.0μg

6.9μg

9.0μg

6.2μg

食塩相当量

7.5g未満

10.7g

6.5g未満

9.1g

カルシウム

750~800㎎

490㎎

650㎎

476㎎

 

【食塩の目標量】
・高血圧の予防・治療のためには6g/日未満
・WHOガイドライン:5g/日未満を強く推奨
・食事摂取基準:男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満
(重症化予防のため6g/日未満)

 

できるだけ減塩を目指す野菜の摂取量を増やす必要がある

 

冷凍食品を利用して、不足しがちな栄養素を補おう

・適塩の冷凍食品

・味付けがされているものは塩分を足さない

・冷凍食品の利用は食塩摂取量が計算できる

・冷凍食品で魚の摂取を心がける(下処理不要で楽)

・ほうれん草の栄養価を比較すると、冷凍ほうれん草は旬の時期のものを冷凍しているため、旬以外の時期の生よりも栄養価が高くなることもある

 

3.冷凍食品だから、組み合わせも簡単!栄養しっかりプレートメニュー

・不足しがちな栄養士には、カルシウム・鉄・カリウム・食物繊維がある

・ナトリウム(塩分)に配慮しながら補っていく

カルシウム

多い食品:牛乳・ヨーグルト・チーズ・桜エビ・小魚・切り干し大根・豆腐・納豆・小松菜・青梗菜・海藻類

 

→取り入れるのは1つではなく、これらを「こまめにちょい足し」の提案をする(ビタミンD・Kも一緒に摂れる)

 

【具体例】

  • 冷凍小松菜+(厚揚げ・桜エビ・切り干し大根)
  • 冷凍グラタン+(冷凍小松菜・冷凍ブロッコリー・冷凍枝豆)(☝一緒にレンジアップして混ぜる)

 

多い食品:牛肉・レバー・豆乳・納豆・厚揚げ・ほうれん草・小松菜・まぐろ・かつお・鯖缶

 

様々な食材から補給提案「こまめにちょい足し

 

【具体例】

  • 冷凍小松菜+(冷凍枝豆・冷凍ブロッコリー・切り干し大根)
  • 冷凍アサリ+(牛肉・鯖缶・納豆・豆腐)

 

カリウム

多い食品:魚介類・野菜類・果実類・乳類

 

野菜・魚介類不足の人「こまめにちょい足し」提案

 

【具体例】

  • 冷凍ピラフ+(冷凍枝豆・冷凍小松菜・スクランブルエッグ)
  • 冷凍フライドポテト+(七味・カレー粉・青のり)

 

食物繊維

多い食品:海藻類・野菜類・きのこ類・穀類・イモ類・豆類

 

→ごぼうとこんにゃく以外の啓豪「こまめにちょい足し

 

【具体例】

  • 肉料理+(ひじきの煮物・きんぴらごぼう)
  • 納豆+冷凍おくら
  • 冷凍ブロッコリー・冷凍枝豆・冷凍オクラ・冷凍南瓜・フライドポテトなどプラスする

 

ナトリウム(塩分)の控え方

多い食品:しょうゆ・調味料・魚介類・麺・パン・乳類・食塩・味噌・スープ・汁・調理加工品

 

→アレンジメニューは塩分摂取量を増やしてしまいがちなので注意

→使用頻度の高いものは代替えする

 

例:冷凍おかずは1つ1つが完成された味なので、プラスオンするときは通常の調味料の量は使わない。足すのはうま味。

 

冷凍食材をおいしく食べるコツ

・食感が気にならない料理にする:スープに入れる、卵と一緒に炒める

・水分が出にくい調理法にする:しっかり水気を切る

・足を引っ張らない食材の組み合わせをする:旨味のある食材を組み合わせる

 

冷凍食品レシピの紹介

〇冷凍おにぎりの冷凍磯部ちくわ天むす

→冷凍おにぎり+冷凍ちくわ磯部揚げ+青しそ+紅ショウガ+焼きのり

 

〇ピーマンの冷凍ギョーザ詰め

→ピーマン+冷凍焼き餃子+カレー粉+ピザ用チーズ+コショウ

 

〇冷凍かぼちゃと冷凍アボカドのトマト風味サラダ

→冷凍南瓜+冷凍アボカドダイス+トマトジュース+マヨネーズ+ミックスナッツ+コショウ

 

〇冷凍ほうれん草と切り干し大根のごまポンあえ

→冷凍ほうれん草+切り干し大根+ポン酢+ごま油+白すりごま

 

〇冷凍フルーツのミニパフェ

→冷凍ベリーミックス+コーンフレーク+プレーンヨーグルト+はちみつ

 

セミナーを受けての感想

 

セミナーを受けたことで、冷凍食品に対する私のイメージが大きく変わりました。正直、これまで冷凍食品にはネガティブな印象があり、家庭でもあまり使わないようにしていました。

 

しかし、セミナーで学んだことにより、冷凍食品は急速冷凍によって菌の発生を抑制しており、余分な保存料を使用していないこと、また衛生面にも配慮されていることがわかりました。

 

さらに、冷凍野菜についても、旬の時期に収穫したものをそのまま冷凍しているため、栄養価が高いことを知り、上手に活用することで健康に役立つ可能性があることに気づかされました。

 

日本人の食生活では、塩分過多、野菜不足、魚不足といった課題が指摘されています。冷凍食品を上手に取り入れることで、これらの課題を改善しやすくなることがわかりました。

 

管理栄養士として、冷凍食品のメリットをしっかり理解し、それを患者様に伝えることで、負担を減らしながら健康改善に役立つ具体的な提案を行う必要があると強く感じました。