2025/02/27投稿者:スタッフ

セミナーレポ「知っておこう!食物アレルギー」

セミナーの概要

 

令和7年2月19日(水)に開催された「知っておこう!食物アレルギー」のセミナーにオンラインで参加しました。

 

このセミナーは、近畿農政局が開催する食に関するセミナーで、食物アレルギーに関する最新の情報などについて学ぶことが目的です。

 

 以下のプログラムで行われました。

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1.食物アレルギーに関する最新の情報等について

講師:脇昌子氏(内閣府 食品安全委員会シニアフェロー)

 

2.日本の食料事情について

講師:近畿農政局 企画調整室担当官

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 1.食物アレルギーに関する最新の情報等について

食物アレルギーは年々増えている(2歳までが54.5%)

 

・食物アレルギーとは食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介し、生体にとって不利益な症状が起こる現象。

 

・アレルゲンとIgE抗体が結び付き、細胞からヒスタミンなどが放出されてアレルギー症状が起きる。

 

・食物アレルギーの症状は全身のさまざまな臓器に急速におこり、重症もありうる。

 

・アナフィラキシーはアレルゲンに暴露後数分~数時間内に2臓器以上の症状が発言、または血圧が低下する状態。

 

・食物依存性運動誘発性アナフィラキシー:原因食物を食べた後に運動することでアナフィラキシーが誘発される病態。どちらかだけでは誘発されない。小麦。甲殻類、果物などが原因となりやすい。

 

・小児食物アレルギーの予防:離乳食を生後5~6ヵ月ごろに開始し遅らせないことが大事。妊婦・授乳中の母親の食事制限は勧められない。

 

・食物アレルギーを疑ったら?

 ⑴原因食物をできるだけ確定する(受診して正確に診断)

 ⑵正しい診断による除去食最低限の除去

 

2.日本の食料事情について

日本の食料自給率について

 

(2023年)

カロリーベース

生産額ベース

食料自給率

38%

61%

食料国産率

47%

67%

 

・食料自給率とは、国内の食料全体の供給に対する食料の国内生産の割合を示す指標。分子を国内生産、分母を国内消費仕向として計算される。

 

・食料自給率は、米の消費が減少する一方で、畜産物や油脂類の消費が増大するなどの食生活の変化により、長期的には低下傾向が続いているが、2000年代に入ってからは概ね横ばい傾向で推移。

 

・食料自給率の変動要因は国内生産より、国内消費の影響が大きい

 

・日本の食料自給率は先進国の中で最低となっている。

 

食料の安定供給について

▼日本の食料の安定供給確保の考え方

 

⑴食料安全保障の確立に向けた取り組み

 ①国内の農業生産の増大

 ②安定的な輸入の確保

 ③総合的な備蓄の推進

⑵不測時に備えた食料安全保障

 

セミナーを受けての感想

食物アレルギーについて、年々増加している現状を知り、管理栄養士として今後、食物アレルギーへの正しい理解がますます重要になっていくと強く感じました。

 

また、予防の観点から、生後5〜6ヶ月での離乳食開始が重要であることを改めて認識しました。食物アレルギーを発症してからの対応ではなく、発症前に予防できる方法があることが大切で、特にこの時期の数ヶ月間にしかチャンスがないため、子育て世代への正確な知識提供が重要であると感じました。

 

日本の食料自給率に関しては、生産量の問題で自分にはあまり関係がないと感じてしまいがちですが、実は食生活の変化(畜産物や油脂類の消費増加)が影響を与えていることを知り、個々の食生活への意識を改める必要があると痛感しました。

 

このセミナーを通じて、現代の食に関する課題について深く理解することができ、今後の栄養指導や生活習慣改善のアプローチに活かしていきたいと強く感じています。

 

 

**筆者プロフィール**

株式会社メディカルフロンティア 専属ライター(管理栄養士)
▼管理栄養士の現場経験11年
▼栄養指導3年、調理現場3年、献立作成5年、管理職6年
これまで病院に所属し、主に栄養管理や献立管理を担当してきました。
栄養士コラムは自身の経験も踏まえ、その他、転職や業界情報などみなさんの役に立つ情報発信を行っていきます。